抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

学生が国連インターンに応募し機会を獲得する方法

 

こんにちは。

 

 今回の記事では「学生が国連機関でインターンの機会を獲得する方法」について書いていきます。対象は国内外の大学生及び大学院生となります。なぜ社会人を対象としていないかについてですが、これは私見になってしまいますが、社会人があえて国連機関でインターンをする必要がないと考えるからです。国連機関でインターンを経験する日本人は極めて少ないのが現状です。本ブログの読者の大半は、国連機関、国際機関、国際協力等のキーワードにリンクする方々だと存じ上げますが、その群を取っても、国連機関でインターンを経験した人間が周囲にいるというのは極めて一部の方たちでしょう。これには主に2つの理由が考えられます。1つ目は、現在国連機関でインターンを経験する殆どの学生は在籍する大学からのサポートでインターン機会を得た人たちで、学校と国連機関とが協定を結んでいる場合であれば良いのですが、そうではない学生にとってはそもそも機会すらないということです。私の知る限り、旧帝大早慶ICU、青学、神戸大、広島大、くらいではないでしょうか(他にもあるかもしれません)。2つ目の理由は、国連機関でインターンをする学生は前述の通り極めて極少数であるため、国連インターンに関する情報が限定されていることが考えられます。よく「国連機関で働くためにはどのような勉強をすべきでしょうか?」「どのようなスキルを身につけておくべきでしょうか」といった質問を受けますが、こうした質問は明らかな情報量の不足を表しています。これらは大別すると学生側の要因に当たります。他方、インターンを受け入れる側の要因として2つ挙げますと、まず1つ目に、条件を満たすインターン希望者が極めて少ないということが挙げられます。前提として、国連機関のインターンは英語での業務の遂行が厳守であり、ここで多くの志願者が排除されます(意外と知らない方が多いですが、可視化できる英語の資格は不要で、面接で英語力は判断されます)。更には、国連機関のインターンは後述する通り、一般的な日本企業へのインターンとは異なり一定のスキルや専門性がなければなりません(大学が協定を結んでいる場合このハードルは大きく下がります)。2つ目は、多忙でインターンを受け入れることができないという理由です。インターンの受け入れといえど、公式な手続きを取るため、インターン生を野放しにするということはできません。したがって、忙しい時期にインターンの応募があっても事務局全体の意向として受け入れないことが頻繁にあります。少し前にセクターチーフの方とインターンの受け入れについて話をする機会がありました。「インターンの手も借りたいほど忙しいけれど、なかなか即戦力となる人材がいなかったから、もう受け入れ自体を止めている」とのことでした。

 さて、国連機関で「インターンをしたい、でも該当する大学に在籍していない」という学生は五里霧中の現状にあると思います。もちろん、例え大学が国連機関と協定を結んでいたとしても、学校内での競争は多かれ少なかれありますし、受け入れ先が多忙の場合は協定を結んでいたとしても受け入れを止めるということもあります。

 以上を踏まえ、本稿では以下3つの点に主眼を置くことにします。1つ目は実際にインターンの機会を得る方法についてです。具体的には、学校を介して応募する方法ではなく、学生自らで応募する方法です。筆者自身、このやり方で学部2年の時にジンバブエのハラレ、ケニアのナイロビ、インドネシアジャカルタにある3つの国連機関事務局、修士1年の時にサモアアピアにある国連機関事務局からオファーを頂いております。そのため、かなり現実的で実行可能な方法だと言えます。2つ目は、インターンに受ける前にここまでは出来ていた方が良い、また、準備しておいた方が良いことについて触れます。とはいえ、これらを敷衍して書いていくと大変な量になるため、あくまで表面的な記述に留めます。そして3つ目に国連機関でインターンを経験する意義について述べます。筆者自身まだ学生とさほど変わらない年齢であるため、フレッシュな視点より自身の経験を踏まえ略述させていただきます。

 

1. 国連機関でインターンの機会を得る方法

 

 ここでは主に2つの方法について紹介させていただきます。1つ目の方法は国連各機関のHPからポストの空きを探す方法です。興味のある機関のHPを見ていただきますと、空席に関するリンクがあり、そこからリアルタイムで空席の確認をすることができます。空席があれば、そのポストにただひたすらに応募し続けるだけです。これまた私見になりますが、インターンを希望するのであれば、特定の機関に絞る必要はないと考えます。上手く志願する理由をつけて自身の経験や専門性を汎用すればよいだけで、この段階で応募先を限定しまうのは賢明ではありません。理由は上手く引っかかって事務局から返信が来る確率は非常に低いからです。よく、数を打てば当たる理論がありますが、あれと同じで、幸運にも返信がこればその時点で考えればよいのであって、この段階ではとにかく応募し続けることが重要です。注意点としましては、ある程度の数を応募していく過程で、志願書や動機に関する文章がテンプレ化していくことです。一見、これは良いことだと思われますが、事務局の名前や機関名を間違えて送ってしまうことにも繋がりかねないので(実際に筆者も経験しています)、その点の注意は必要です。

 2つ目の方法は、事務局や職員に直接CVを送りつける方法です。学生のうちからこの方法が取れる学生は大変素晴らしいと思います。この方法を取る際、検索すべきは各国連機関事務局のHPです。殆どの場合、そこに事務局の連絡先が記載されてあり、更には職員の名前も公開されていることもあります。その際は、職員の名前をネット上で検索にかけると運が良ければメールアドレスを入手することができます。そのメールアドレスに直接CVを送るわけです。言うまでもなく、その職員の立場や、どのような業務を担っているかを事前に調べ上げる必要がありますが、私の知る限り、この「事務局や職員に直接アプローチする」方法を取っている学生は殆ど皆無と言えるでしょう。運が良ければ、返信をもらい、事務局のチーフやインターンを欲している職員に繋げてもらうことができます。ぜひこれらの方法を試してみてはいかがでしょうか。

 

2. インターンを応募するにあたり準備しておくべきこと、スキル

 

 準備しておくべきこととしては、まず英字のCV(履歴書)です。華やかなものである必要はありません。書き方については、フォーマットが決まっているわけではないため、図書館やそれこそネットでサンプルを見つけて参考にするだけで十分です。私は当時の職員の方からの助言を受け、論文のタイトル、取った授業の一部、所属学会、学会での発表歴を記載しました(最後の2 項目に関しては学部生は不要です)。続いて、各機関で文字数の違いはありますが、志望動機や自己紹介は事前に準備、少なくともテンプレはあった方がよいです。きちんとしたものを書こうと思うと、当然ネイティブの添削等も必要になってきますし、納得の内容になるまで何度も書き直さなければなりません。案外、面倒な作業であるため、時間のあるうちに事前準備をしておくことが望まれます。更には、渡航費の資金集めも必要です。国連機関でのインターンは原則(一部例外はあります)自己負担です。飛行機代や海外保険、現地での衣食住も個人の負担になります。学生であれば、所属する大学によって奨学金を得ることも可能ですし、民間から援助を得ることもできます。更には、最近のトレンドで言いますと、クラウドフォンディングを募ると言うことも選択肢としてはあると考えます。いずれにしても一定の期間を要するため、事前に準備しておくべきです。

 続いてスキル面に関してですが、この質問に関しては私もよく受けておりました。「どのような専門性を付けておくべきですか」という質問は応募する機関やポストにより異なるため一般化することができません。当然、専門性はあればそれに越したことはないですが、ここでは全ての志願者に当てはまるスキルとして「英語」と「Excel」を挙げさせていただきます。

 まず英語についてですが、前述の通り、応募する上でも勤務をする際にも何か特定の資格を取っておく必要はありません。日本の民間企業であればTOEIC800点以上といった条件を定めますが国連機関のインターンに関しては特にそういった資格の提出は不要です。とはいえ、業務を全て英語で遂行するため、高いレベルでの4技能の英語力は要求されます。特にTOEICの勉強を中心的に学んできた学生は早急に話す・聞く練習をするべきといえます。運よく面接で通ったとしても、実際の勤務において会議中に発言ができなければ存在感が消えてしまいますし、上司からの指示が理解できなければ呆れられてしまいます。

 続いてExcelもきちんと使いこなせるようになっていなければなりません。日本人であれ外国人であれExcelを使いこなすことができない学生は本当に多いという印象を受けます(社会人も例外ではありません)。筆者はExcelには、「入力する作業」「抽出する作業」「見せる作業」の3つがあると考えております。とりわけ重要になってくるのは最後の2つ"抽出する作業”と”見せる作業”です。この2つが十分にできるようにならなければ業務として使うことができないため、作業効率が著しく低下してしまいます。この2つを練習するためには、当然ある程度大きなマスターデータが必要です。こうしたデータはネット上でいくらでも入手することができるためぜひ入手してみてください。

 

3. 学生が国連機関でインターンをする意義

 

 最後に、学生が国連機関でインターンをする意義について3つ述べさせていただきます。1つ目は「リスクを取れる立場にある」ということです。この「リスク」とはお金と時間を意味します。前述の通り、国連機関でのインターンは原則個人負担です。そのため、インターンに参加するためには一定の資金が必要になります。運よく返済義務のない奨学金を手にすることができる方もいるかもしれませんが、殆どの方は両親からの援助、または筆者と同じく返済義務のある奨学金を取って賄うことになります。こうしてかかる資金を「負担」として捉えるか、また「投資」として捉えるか、その捉え方が重要になってきます。しかしながら、例え返済しなければならなかったとしても、学生であればかなり低い利息でお金を借りることが可能です。この意味で、リスクが取れる立場にあるのです。また、時間という意味でも学生はリスクを取れます。社会人になると中長期のインターンは退職を意味します。学生であればもちろん勉強もバイトも忙しいと思いますが、とはいえ社会人に比べると自由に使える膨大な時間があります。この意味で、時間を取ってしても、学生はリスクを取れる立場にあるのです。

 2つ目は「学業」についてです。筆者自身、どちらかといえば勉強が好きな学生でよく机に向かって勉強をしていましたので、インターンで費やす時間は机上での勉強ができないことに、インターンでの見返りと机上の勉強との見返りとの便益をしばし比較していました。その葛藤を乗り越えてインターンに参加するという選択を取った結論として、やはり参加してよかったと思うわけです。その考えに至る理由としては、インターンを経験したことによって「自分がどこまで出来てどこまで出来ないのか」「どこまで知っていてどこまでを知らないのか」について自分のレベルを客観視することが出来たからだといえます。そのため、インターンの終わりには、その後すべき取り組みや勉強をしなければならない領域が明確になり、その結果勉強の効率性が上がったためです。この点を挙げても、学生がインターンに参加する意義はあります。

 3つ目は、「国連機関でのインターンの経験は話のネタになる」ということです。これは筆者自身インターンに参加した後にひしひしと感じたことです。国連機関でのインターンの経験というのは誰もができるものではないため、希少性が高く、いろんな方に興味を持ってもらえるということです。学生は、その後全く異なるキャリアで就職活動をしたとしても面接時での話のネタになることだと思いますし、そうした目的で参加するのも筆者は素晴らしいと考えております。実際、こうしてインターンに関する記事を書けているのも、筆者自身がインターンを経験することができたからだと思うわけです。

 

最後に

 

皆様の天分が開花することを願ってやみません。

 

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