抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

国連職員には普通の人の方が多いのか?

こんにちは。

 

 今日は”国連職員には「有能な人材」ではなく「普通の人材」の方が多いのか”といった問いに対し、筆者の意見を述べさせていただきます。学生時代に指導教官から毎日のように「言葉の定義を明確にしろ」と言われてきた身ですが、今回はあえて言葉の定義化をせずに書いていきます。というのも、そもそも国連や国際機関での仕事と大企業での仕事では求められるスキルは当然異なる(同一の部分もある)ため、比較すること自体が難しいのです。ですが、今回は筆者自身の経験から実際の内情をお伝えできればと思います。今回俎上に上げるのは、国連機関の場合なので、国際機関ではないということだけ予めご認識頂ければと思います。

 

 まず、”学歴”について触れます。国連機関に入るためには大学院の学位を持っていないといけないと認識されている方がみられますが、実際は専門機関によって異なります。学部卒で入れる機関もありますが、昇級は難しく、専門性もないと判断されてしまうため、実際のところ学部卒が入るハードルは頗る高いです(不可能ではありません)。修士卒か博士卒かについては、当然、博士卒に軍配が上がるわけですが、修士卒だからという理由のみで選考で落とされることはあまりないように思います。ただ、コンサルで入る場合、また管理職になる場合は博士卒が断然に優先されるのは事実と言えます。先月、私の所属するセクターでコンサルを募集したところ多くの応募がありましたが、修士卒という理由のみで対象を除外しました。

 そこに付随して”卒業した大学名は重視されるのか?”について述べさせていただきます。最近、「大学名は重視されない、学位があれば良い」といった意見が散見されますが、結論から申し上げますと、その意見は一部正しいものの、ほぼ間違っています。国連機関にはサセックス卒が多い、この事実で自白なように、国連機関は学歴を基準に選定しています(機関によっては、学歴を点数化しているところもあります)。これはなぜかというと、「実力」のある人、「優秀」な人は、一般的に有名大学や入学難易度の高い大学に多いからです。国連機関が学歴を重視するというのは、単純に有名大学卒の卒業生を採用する方が「実力」のある人材に当たる可能性が高いというだけでそれ以上の理由はありません。JICAの職員も東大・京大卒が圧倒的多数を占めますが、その国際版だという考えるとイメージがしやすいと思います。実際のところ、国連機関で働くスタッフは米国のアイビーリーグや仏国のグランゼコール、英国のオックスフォードやサセックスといった、世界大学ランキングの上位に入る大学を卒業した方が多く働いています。

「大学名は重視されない、学位があれば良い」といった意見が一部正しい理由につきましては、広報やICTなど、頭を使って政策に関わらないポストに入るスタッフはそこまで大学名を重視されないからです(あえてこういう書き方をさせていただきます)。ですので、戦略的にこういったポストを狙うことは賢明だと言えます。国連機関の主な業務は上流と中流を扱い、”巷では”政策のプロ集団と言われていることもあり、頭を使える人材が欲しいわけです。そうした人材を選定する際に、学歴(大学名)が基準になるのは当然のことだと言えます。

 

国連機関には普通の人材が多いのか?

 

 上述した理由より、セクターによってその答えが変わってくると思います。専門的な知識やスキル等が求められるセクターでは、当然、有能な人材が多いと言えますし(戦略的に日本人のスタッフはこれらのセクターではなく、生き残りがしやすいセクターに部署を移す方もいます)内部のICTや広報などのセクターでは一般的なスタッフが多いのではないでしょうか。外資系コンサルのアクセンチュアなどは良い例だと思いますが、戦略コンサルに入るスタッフは非常に優秀な一方で、その他のコンサル部門に配属される方は一般的なスタッフが多いです。同じような構図は割合は逆であれ国連機関にもみられるのだと思います。まあ何を持って有能と言えるのかは難しいところですが、仮に学歴とその人の有能さに相関があるのだとすると、当然、有能な人材が多いという結論になります。

 とはいえ、頭を使って働ける人材が多いというだけで、特定のスキルを持ったスタッフの割合が少なく、端から見ると普通のスタッフなのでしょう。実際に一緒に働いてみると、政策の上流にいるということもあって、自分の頭で考える力を持ったスタッフは多いと感じます。筆者が無能すぎて誰でも有能に見えてしまうからなのかもしれませんが。

 

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