抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

苦難の歴史を経験しているか

 

朝鮮戦争終戦に向かう1953年に曽祖父母は祖父母を連れて広島にやってきた。祖父母は日本で学校に通うことになったが、当時から排他主義であった同級生からいじめを受け、閉塞感を抱え、そしてそれを乗り越えて声を上げることの難しさを、時おり涙を受けべながら話してくれた。これに対して自分は、朝鮮戦争終戦から今日に至るまでの苦難の歴史を知らない。母親が韓国籍であるがゆえに差別を受けた経験がなく、今でも自分の母親が韓国籍であるということの実感も、その血が入っているという感覚もない。

 


様々な権利をめぐっていがみ合い、分断された社会をみて育った祖父母は、「外国」という言葉を聞くだけで拒否反応を示す。

 


苦難の歴史を耐え忍んできた戦後世代の思いは深く、そして厳しい。自分を含め世の中の学生は、シニアに負けず劣らず勉強はしている。だが、問題を突き詰めていくと、知識というより苦難の歴史を経験しているか、いなかの情念の差に行き着いてしまう。知識なら勉強を重ねれば追いつくが、歴史だけは追体験するわけにはいかない。世代間の軋轢の根深さは、そこにある。

 

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