抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

2019-01-01から1年間の記事一覧

病んだ社会

昨今の無差別殺事件での加害者の「誰でもよかった」という言い方に私たちは何を読み取ったらいいのだろうか。その背景には漠然とした不安や言葉にできない苛立ちなどがあるのだろうが、私には彼らの自己の存在に対する言いようのない軽さをその根底に見る。…

不安は人間を攻撃的にし、社会を排除型に変える

戦後半世紀以上経っても戦争責任を曖昧にしているこの国は、原発責任も曖昧にしたまま、これからの世代に放射能の脅威を押し付けるのか。原発責任を曖昧にしたままでは、この国は永遠に復興しない。まさにその通りだと思う。 祖父が広島の公立中学に入学した…

性に関する理解

11月に二日間に渡り東京大学にて国際開発学会が開催された。本学会は、様々な分野から開発を考えアプローチするために、毎年春と秋に識者らを中心に研究発表や報告会が行われる。二日目の午前には女性に関するセクションが開催された。そこでは4名の女性研究…

心得

今年の梅雨は例年にも増して長かった。果てなく続く雨に気が滅入ったが、豪雨災害に今年もまた襲われた西日本各地ではそれどころではなかった。幸い、私の実家がある滋賀県や、私が今住んでいる名古屋では大きな災害の被害は免れた。災害された方々に心より…

社会の連帯を強める

東日本大震災で日本が揺れていた2011年、遠く離れた北欧のノルウェーでは国内史上最悪の惨事だと言われる連続テロ事件が起こった。77人を殺した犯人に対して裁判所が下した判決は、禁錮21年であった。この国には死刑制度はない。この事件を受けて、国内では…

本は固定費

本を読んで勉強をしたい、何かを学びたいと考えている人は多いと思います。だけれど、一冊2000円、3000円する本を目の前にした時、購入を躊躇い、結局購入せずに終わってしまう人を多く見かけます。私自身、これまで多くの本を読んできましたが、何かと天秤…

修論の評価

修士論文の評価基準は所属する研究科により程度の差はあるが、近年の潮流として研究手法を評価する傾向がある。確かに、修士課程に入ると研究手法を学ぶ機会があり、そこで学んだ手法を修論に取り入れるというのは教育のアウトプットの観点から一定の評価に…

知る自由を守り抜く

「表現の不自由展・その後」が公開後わずか3日で中止されたことに「表現の自由」が侵害されたという声が多い。憲法二一条の「表現の自由」は、一般人が自発的に行う表現について、国会や自治体などの「公」からの干渉を受けないことを指している。「公」から…

IR誘致に隔靴搔痒の感がある。

去る八月二二日、横浜市の林文子市長がIR誘致に乗り出す方針を明らかにした。二年前の市長選挙の際、市長は「IR誘致は白紙」だとしていた。「市民の意見を踏まえた上で方向性を決定する」ともしていた。ところが、ここにきて誘致の方針が突然打ち出されたの…

Compromise

日韓関係が戦後最悪の状況とも言われる。その根底には戦前の日本の朝鮮半島の植民地化に対する韓国人の根強い怨恨と、六五年の日韓基本条約における戦後処理の不完全さがある。いわゆる従軍慰安婦や徴用工問題も、植民地下で起きた被害であり、被害国の恨み…

院生からの警告

厳しい暑さが続く9月、この時期は大半の大学院で入学試験が実施されています。学部を卒業して直接大学院に進学される方や、一度社会人を経験した後に大学院に入学される方、いろいろな方がこの時期入学試験を受験します。大学院という場をどう捉えるかは人に…

権力者の驕り

参議院選挙の公示前後に、様々なメディアで各党の党首討論が行われた。そこで目立ったのが、自由民主党安倍総裁の異様な態度だ。 「原発に新増設を認めないか」、「選択的夫婦別姓を認めるか」といった質問に、挙手によるイエス、ノーを問われた安倍首相は、…

不本意非正規労働者

日本の労働市場における問題は多くあるが、非正規雇用の増加はその中の大きな一つだと言える。「人に雇われている人」のうち非正規の割合は38%を占め、パートで働く主婦や学生アルバイトを除いて、正規で働きたくても働けず、やむなく非正規で働く人が700-90…

マイノリティを守る社会に

高等教育の就学支援制度が文科省から出された。その中のQ&Aが今議論を醸し出している。Q67 大学院生は新制度の支援対象になりますか。A 大学院生は対象になりません。( 大学院への進学は18歳人口の5.5%に留まっており、短期大学や2年制の専門学校を卒業した…

そして友好の呼び水となった

カンボジアの500リエルには日本国旗「日の丸」が描かれている。カンボジアの観光地ではどこもドルで支払うことができるが、国の通貨はリエル、紙幣とは国の象徴なのになぜ日本の国旗が印刷されているのかと不思議に思った。 カンボジアは第二次世界大戦を経…

平仄を合わせる

1970年までカンボジアは、東南アジアの立憲君主国に過ぎなかった。そこに60年代からエスカレートした米軍のインドシナ侵略により混乱が飛び火し、70年には親米派の軍人ロン・ノルによるクーデターが起こり、シアヌークは国王の座を追われた。その後、フラン…

教育の質に関する指標

本記事では教育の質に関する基本的な指標を解説する。 生徒教員比率 定義:ある年度のある教育課程における教員一人当たりの平均的な生徒数。 公式:生徒数 i/教員数i この指標は多くの場合教育の質の指標と捉えられているが、場合によっては公共支出の効率…

教育内部効率性に関する指標

この記事では教育統計指標の中で、内部効率性に関する指標を解説する。内部効率性とは教育を受けることをインプット、卒業してからの課程をアウトプットとして考える。そして最小のインプットで最大のアウトプットを出すことが一番効率的であると考えられる…

教育統計指標解説

本記事では教育統計指標について、それがどのように計算・使用され、その指標はどのような意味を持つのか基礎的な部分を解説を含め紹介していきたい。以下で紹介する指標は、世界銀行やUNESCO、OECDなどでもよく使用される指標であるため、知っておくとその…

政治が追いかけてくる

香港に限らず、人々は政治から離れたくても政治が追いかけてくる。逃れられない。生きることも老いることも、衣食住といった生活そのものが政治なのである。公平や合理性を決定づけるのは制度で、それを決めるのが政治。国家権力と市場と社会の三者が均衡し…

苦難の歴史を経験しているか

朝鮮戦争が終戦に向かう1953年に曽祖父母は祖父母を連れて広島にやってきた。祖父母は日本で学校に通うことになったが、当時から排他主義であった同級生からいじめを受け、閉塞感を抱え、そしてそれを乗り越えて声を上げることの難しさを、時おり涙を受けべ…

学歴がないと起業しても上手くいかないのか

学歴がないと起業しても上手くいかないという意見があったが、自分は起業に学歴は関係ないと思っている。起業してから数回ほど経営者が集まる食事会に参加したが、中卒こそいなかったが、高卒の人はぼちぼちいた。みんな稼いでいた。 しかし割合として起業す…

虚堂懸鏡

学習指導要領の一部改訂により、2019年(平成31年)4月から「特別の教科 道徳」が全国の中学校でも教えられるようになった。「明日を生きる」という教科書名と、「自分に自信が持てるようになる」という言葉が印象的だ。 自分が中学生だった時、教員と生徒の…

民主主義が終わりを迎える日

二月に行われた沖縄県民の民意を問う県民投票では辺野古移設反対が71%となった。憲法九五条には、地方自治体への特別法の制定には、住民の過半数の同意が必要だと定めている。この条文の精神に照らして、県民投票の結果を無視し移設工事を強行するのは違憲で…

当たり前の自由がなくなる日

新しく越してきたアパートの近くに読書カフェがある。コーヒーを頼むと店に置いてある本を読むことが許される。店には常連客の人たちが読書会を開催するなど、聞くところによると、毎週日曜日の朝は各々が好きなテーマを持ち寄って世間話をする場所にもなっ…

就活中のセクハラについて

大企業への内定を有利に進めるためには、現場で働く社員を訪問するOB訪問がカギを握ると言われていた時代から、今はそれが絶対条件になってきている現状がある。そうした流れにシフトしてきて以降、毎年のように女子学生がセクハラの被害を受ける事件が報告…

The new world of Artificial Intelligence

Since the turn of the Twenty-First Century, technology has immensely advanced. A drone which has free access to space, a self-driving car which was initiated by Google, Robotics which act like human-beings and AI (Artificial Intelligence) …

安倍という名の国難

2月24日に沖縄県民の意を問う投票が行われ、全体の72%もの人が辺野古新基地建設に反対する民意を示した。反対派が多数を占めるのは当然の結果だった。そしてこれも当然のように政府は投票を尊重することなく建設を進める方針を示した。以前ブログでも述べた…

人の命よりも重い経済成長

2018年6月29日、安倍首相の一言から「働き方改革」が成立した。働き方改革、これまで頻繁に過労に襲われ命を落とした人たちがいる。その人たちのことを思えば、政府は漸く重い腰を上げたという印象である。しかし、この改革には多くの問題がある。今回は、働…

沖縄とアメリカ

翁長元沖縄県知事が無くなったのが去年の8月。彼の死から来月で半年を迎えるかと思うと、時の流れの速さを感じる。彼が取り戻そうとした沖縄の平和は果たしていつ達成されるのだろうか。戦後から続く沖縄の痛みを叙述する。 戦後日本は「平和と繁栄」を謳歌…