抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

教育に過度な期待をかけてはいけない

こんにちは。

 

5月に入り、ブログの記事を12本投稿してきました。在宅勤務になると、思想に耽ることが多くなります。そういったこともあり、「いつ働いているのか?」と聞かれることが増えてきました。私は海外で勤務していますが、コロナの影響により日本で在宅勤務をしています。ですので、基本的には勤務地である海外の時間で働いています。とはいえ、拘束時間をきっちり守って働いているわけではなく、毎週数回あるテレビ会議以外は、自分のペースで仕事をしています。昼を過ぎて作業をし始めることもあれば、朝早くから仕事を始めて昼過ぎに終える時もあります。仕事は絶え間なく入ってくるので、サボってしまうと消化しきれなくなります。現在は4つのプロジェクトに関わっており、うち2つのプロジェクトでは中心メンバーとして携わらせていただいております。ONとOFFの切り替えを意識したいです。

 さて、今日は「教育に過度な期待をかけるのはやめよう」といったテーマで書いていきます。大学院では、教育系の授業を中心的に選択し、修論も教育に関するテーマで上梓しました。現在は、教育に携わる仕事をしており、膨大なデータに触れております。そんな筆者が教育に対して思うことを述べていきたいと思います。まず、教育を考える上で理解すべきは、①教育で素質は変えられない、②とはいえ教育をしなければならない、ということです。例えるなら、教育は植物に水をあげるのと同じだと思います。水をあげないと花は枯れてしまう、でも水をあげたからといって、ひまわりがアサガオにはならないし、チューリップが薔薇にはならないということです。要するに、「教育にできることは限られているけれど、教育は必要」だということです。

 大事なことはその人にあった教育を受けることで、全員の学力を一様に高めることではないし、それは不可能だということです。不可能というのは、個々の学力を上げるには個別指導をする必要がありますが、それは予算的には蓋然性が低いのです。小中学校の生徒にタブレット端末を配って、それを活用して授業をすれば学生の学力が上がるのかというと、韓国の例をみれば明らかなように、それは妄想に過ぎないのです。

 文科省は、どうも大学入試を学力基準からAO基準に変えたいと思っているようです。その理由は、多様な人材を大学に入れて教育効果を高めたいということのようですが、多様な人材というと聞こえが良いですが、学力がない人が高度な内容を理解するのは不可能で、教育に支障が出ることは明らかです。

 ご存知の通り、教育の研究には膨大なデータやケーススタディがあります。にもかかわらず、こうしたら良いという結論めいものは出しにくいです。それは、教育は非常に個人的なものだからだと思います。人はそれぞれ、その性質や素質が異なっていて、どのように教育をしたら良いのかも人それぞれです。また、どういう目的を設定するか、どのような教育が必要かも人によって変わってきます。また、そもそも、教育で人がどれほど変わるか、というといくら教育してもそんなには変わりません。そして困ったことに、教育を怠ったり、誤った教育を行うと、ひどい結果になってしまいます。だから教育には大きな期待はしないで、変なことにならないように気をつけるのがよく、その人の素質を見極めて、その素質の良い点を伸ばすのに専念するのが良いと思います。

 高校の時に、個別指導の英語塾に通っていたことがあります。そこでの先生の言葉が今も時折頭に浮かびます。「私の子供の頃に比べて、優秀層の学力は飛躍的に伸びたが、それ以下は頽落した」。

 テクノロジーという言葉はあまり好きではないですが、そうした科学の進歩によりできる学生は、非常にできるようになりました。その一方で、できない学生はとことんできないようにもなってしまいました。何だかんだ単位は取得して卒業しても、勉強したことが全く身に付いていない人が多くなったそうです。とにかく、リーディングができない、文章が書けない、答案に何が書いてあるのか分からない、ノートの取り方が分からない。

 結局今の日本では、最上位層は相変わらず優秀なのだけれど、その下がダメダメのダメになってしまっていると思います。地方国立大学も昔はそれなりに良い人材を輩出していたそうですが、最近はどうでしょうか。私大も、早慶でも上澄の一部を除くと、同じような状況だと思います。

 教育学では成績が5%もあがれば、非常に大きな成功とされます。なぜなら、教え方を工夫しても、生徒の学力の向上にはなかなか繋がらないからです。結局「学び」は自分でやるものだと思います。教育に過度な期待をするのではなく、みなさん自分で黙々と勉強しましょう。

 

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