抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

オワコン

数日前、ある国連職員の方のポストが廃止されることが決まったという投稿を目にしました。まあそんなことはこの業界ではこれまでも多々起きていたことだと驚きはしませんでしたが、時を同じく、その方の職位を知り、私は呆然としました。国連機関の様相が変容してきていることは既に耳目を集めるまでになっていましたが、その変容の速度は私の想像を遥かに越える速さであり、あらゆる業界人の予測が発せられた瞬間に古色蒼然となっていきます。コロナは我々の生活のあり方を大きく変えました。それは国連機関の中も同じです。当たり前の日常が突如失われ、終わりの見えない非日常が新しい現実となるのです。

 コロナがもたらした影響は甚大でした。国連機関に限ってその影響を述べると、まずJPOが例年と比べ明らかに採用人数に制限を設けていることが挙げられます。結論から有り体に言うと、若手が入る余地は著しく狭まりました。①相当TORにマッチした、②豊富な経験を持ち、③即戦力として貢献できる、人材というのが採用の前提となり、別言すると、もともと限られていたポテンシャル採用の要素が完全に消えてしまったと言っても過言ではないのです。

 目に見える変化としては、コロナをきっかけに自主的に業界を去る人が出てきたことも挙げられます。「祖国の家族が心配だから」といって契約半ばで契約を切って祖国に帰ったスタッフを知っていますし、コロナが背中を押す形でキャリアを180度変えて新天地に飛び込む決断をした知り合いもいます。

 そこでふと考えるわけです。「国連機関でしかできないことってなんだろうか」と。私は国連機関でしかできないことなんてないと思います。しかし、国際協力に携わろうとした場合、国連機関とJICAを除くと他での勤務は薄給となるので、ほとんどの方がここを目指そうとするのです。私としては、国際協力に携わる方法が多様化してきているので、いろんな選択肢を持ってキャリアを見据えることをオススメします。むしろ、国連機関に入ること自体、私はオススメできません。民間に転職して転用できる知識やスキルも限られていますし、特定のスキルを習得することも難しいので転職の際に苦労することになります。雇用も安定しないですし、残存するためには政治的な要素が多く付き纏ってきます。特に、長くこの業界にいてしまうと、他で潰しが効かなくなるのでむしろリスクが高くなります。

 

再考