抵抗

“小さな抵抗こそが希望になる”というテーマで不定期に記事を書いています。

若者の活字離れ

若者の活字離れ、新聞離れといわれるようになって久しい。私もニュースは新聞やネットでとりあえず十分かな、と思うこともある。しかし、大きな勘違いがあることに気づいた。つまり私の世代はこれまで新聞や雑誌、本などをある程度読んできて、それなりに社…

正義とは

オウム真理教の引き起こした事件で死刑判決を受けていた七人の刑が執行されて、早くも1年半が過ぎた。日本列島、とりわけ私の住む西日本では何年ぶりかの大雨による避難勧告や避難指示などが発令される中、一斉にこの日、それこそ何事もなかったかのように、…

底無しの格差拡大

今日本で貧富の格差を巡る議論が盛んである。国会で野党が安倍政権に対して格差の拡大を攻撃するのに対し、安倍首相は格差は拡大していないと反論する。 所得の格差には、競争の結果という一面がある。市場経済の社会であれば、ある程度格差がつくのは避けら…

傲岸

日本で格差社会の議論が始まって、かなりの時間が経つが一向に改善の気配はない。最近は、いくら働いても生活保護レベルの給与しか得られないワーキングプアの存在も大きくクローズアップされている。しかし、現在、残業代ゼロのホワイトカラーエクゼンプシ…

Education for Self-Cultivation

学校教育について現職の教員の方と話をする時、教員の世代間において今と昔との間にある「雲泥の差」を感じずにはいられない。年配の教員は、「自分が若い頃は息苦しさや孤独感を感じたことはなかった。教師には多くの自由があり、生徒にはゆとりがあった。…

多様化すべき学びの場

高校生が学ぶ場は今よりも多様化され、高校進学時においても複数の選択肢を持つべきだと考える。例えば、定時制高校や通信制高校などは、たくさんの問題を抱えながら学びの場としてあるべき姿を示唆しており、それはまた全日制高校ひいては日本全体の進学準…

戦争体験者の責任を問う

団塊の世代というのは、親あるいは身近な知人に戦争体験者がおり、日常的に戦争の悲惨さを聞くことのできた世代である。私の祖父母も朝鮮戦争を経験し、それを機に日本へ避難した経験を持つ。日本国憲法9条の存続の是非が日本で問われた去年も、祖父母は会う…

綻び

ドナルド・トランプ氏が多くの予想を裏切り当選してから早くも4年目を迎えた。彼が大統領に決まった時、直感的に「気持ち悪い時代になった」と思った。日本のメディア・有識者の多くは「まさか」を繰り返し、事態に対応し切れていないように思えた。かくいう…

時代と雇用

兵庫県宝塚市が「就職氷河期」世代を対象に、正規職員を募集したところ1600人を超える応募が集まったという。選ばれたのは4人ということから倍率は400倍である。ここから分かるのは、30代半ばから40 代半ばまでの世代が、今も失業や劣悪な雇用環境に苦しんで…

実に奇妙な判決であった

自分の息子を殺害した、元農林水産省の事務次官に懲役六年の判決が下された。私にとっては二重の意味で予想外の判決であった。一つ目は意外と軽い判決であったという驚き。そして、二つ目は、この判決を受けてテレビやSNSで広がっている同情論である。中には…

病んだ社会

昨今の無差別殺事件での加害者の「誰でもよかった」という言い方に私たちは何を読み取ったらいいのだろうか。その背景には漠然とした不安や言葉にできない苛立ちなどがあるのだろうが、私には彼らの自己の存在に対する言いようのない軽さをその根底に見る。…

不安は人間を攻撃的にし、社会を排除型に変える

戦後半世紀以上経っても戦争責任を曖昧にしているこの国は、原発責任も曖昧にしたまま、これからの世代に放射能の脅威を押し付けるのか。原発責任を曖昧にしたままでは、この国は永遠に復興しない。まさにその通りだと思う。 祖父が広島の公立中学に入学した…

性に関する理解

11月に二日間に渡り東京大学にて国際開発学会が開催された。本学会は、様々な分野から開発を考えアプローチするために、毎年春と秋に識者らを中心に研究発表や報告会が行われる。二日目の午前には女性に関するセクションが開催された。そこでは4名の女性研究…

心得

今年の梅雨は例年にも増して長かった。果てなく続く雨に気が滅入ったが、豪雨災害に今年もまた襲われた西日本各地ではそれどころではなかった。幸い、私の実家がある滋賀県や、私が今住んでいる名古屋では大きな災害の被害は免れた。災害された方々に心より…

社会の連帯を強める

東日本大震災で日本が揺れていた2011年、遠く離れた北欧のノルウェーでは国内史上最悪の惨事だと言われる連続テロ事件が起こった。77人を殺した犯人に対して裁判所が下した判決は、禁錮21年であった。この国には死刑制度はない。この事件を受けて、国内では…

本は固定費

本を読んで勉強をしたい、何かを学びたいと考えている人は多いと思います。だけれど、一冊2000円、3000円する本を目の前にした時、購入を躊躇い、結局購入せずに終わってしまう人を多く見かけます。私自身、これまで多くの本を読んできましたが、何かと天秤…

修論の評価

修士論文の評価基準は所属する研究科により程度の差はあるが、近年の潮流として研究手法を評価する傾向がある。確かに、修士課程に入ると研究手法を学ぶ機会があり、そこで学んだ手法を修論に取り入れるというのは教育のアウトプットの観点から一定の評価に…

知る自由を守り抜く

「表現の不自由展・その後」が公開後わずか3日で中止されたことに「表現の自由」が侵害されたという声が多い。憲法二一条の「表現の自由」は、一般人が自発的に行う表現について、国会や自治体などの「公」からの干渉を受けないことを指している。「公」から…

IR誘致に隔靴搔痒の感がある。

去る八月二二日、横浜市の林文子市長がIR誘致に乗り出す方針を明らかにした。二年前の市長選挙の際、市長は「IR誘致は白紙」だとしていた。「市民の意見を踏まえた上で方向性を決定する」ともしていた。ところが、ここにきて誘致の方針が突然打ち出されたの…

Compromise

日韓関係が戦後最悪の状況とも言われる。その根底には戦前の日本の朝鮮半島の植民地化に対する韓国人の根強い怨恨と、六五年の日韓基本条約における戦後処理の不完全さがある。いわゆる従軍慰安婦や徴用工問題も、植民地下で起きた被害であり、被害国の恨み…

院生からの警告

厳しい暑さが続く9月、この時期は大半の大学院で入学試験が実施されています。学部を卒業して直接大学院に進学される方や、一度社会人を経験した後に大学院に入学される方、いろいろな方がこの時期入学試験を受験します。大学院という場をどう捉えるかは人に…

権力者の驕り

参議院選挙の公示前後に、様々なメディアで各党の党首討論が行われた。そこで目立ったのが、自由民主党安倍総裁の異様な態度だ。 「原発に新増設を認めないか」、「選択的夫婦別姓を認めるか」といった質問に、挙手によるイエス、ノーを問われた安倍首相は、…

不本意非正規労働者

日本の労働市場における問題は多くあるが、非正規雇用の増加はその中の大きな一つだと言える。「人に雇われている人」のうち非正規の割合は38%を占め、パートで働く主婦や学生アルバイトを除いて、正規で働きたくても働けず、やむなく非正規で働く人が700-90…

マイノリティを守る社会に

高等教育の就学支援制度が文科省から出された。その中のQ&Aが今議論を醸し出している。Q67 大学院生は新制度の支援対象になりますか。A 大学院生は対象になりません。( 大学院への進学は18歳人口の5.5%に留まっており、短期大学や2年制の専門学校を卒業した…

そして友好の呼び水となった

カンボジアの500リエルには日本国旗「日の丸」が描かれている。カンボジアの観光地ではどこもドルで支払うことができるが、国の通貨はリエル、紙幣とは国の象徴なのになぜ日本の国旗が印刷されているのかと不思議に思った。 カンボジアは第二次世界大戦を経…

平仄を合わせる

1970年までカンボジアは、東南アジアの立憲君主国に過ぎなかった。そこに60年代からエスカレートした米軍のインドシナ侵略により混乱が飛び火し、70年には親米派の軍人ロン・ノルによるクーデターが起こり、シアヌークは国王の座を追われた。その後、フラン…

教育の質に関する指標

本記事では教育の質に関する基本的な指標を解説する。 生徒教員比率 定義:ある年度のある教育課程における教員一人当たりの平均的な生徒数。 公式:生徒数 i/教員数i この指標は多くの場合教育の質の指標と捉えられているが、場合によっては公共支出の効率…

教育内部効率性に関する指標

この記事では教育統計指標の中で、内部効率性に関する指標を解説する。内部効率性とは教育を受けることをインプット、卒業してからの課程をアウトプットとして考える。そして最小のインプットで最大のアウトプットを出すことが一番効率的であると考えられる…

教育統計指標解説

本記事では教育統計指標について、それがどのように計算・使用され、その指標はどのような意味を持つのか基礎的な部分を解説を含め紹介していきたい。以下で紹介する指標は、世界銀行やUNESCO、OECDなどでもよく使用される指標であるため、知っておくとその…

政治が追いかけてくる

香港に限らず、人々は政治から離れたくても政治が追いかけてくる。逃れられない。生きることも老いることも、衣食住といった生活そのものが政治なのである。公平や合理性を決定づけるのは制度で、それを決めるのが政治。国家権力と市場と社会の三者が均衡し…